さてっと,先週の予告通りに鷹峯のお寺巡りのお話をしようかな・・・。


朝8時40分頃。

バスから降りたのは二人だけ。


バス停から少し歩いてやって来たのは,街の喧騒から切り離された聖域。



   

            ひっそりとした中に佇む朱塗りの門。



   

                  吉野門


吉野太夫という京都の太夫に代々受け継がれる名跡がある。

10代目まで引き継がれたそうで,初代は安土桃山時代の人だそうだ。

(初代は,去年の大河ドラマに登場してた人)

10人いるうちのたった一人,2代目吉野太夫以外については殆ど知られていない。


          

           この吉野門は,その2代目吉野大夫が寄進したものだそうだ。


朝早かった為か,人気がない。

途方に暮れてうろうろとしていると,お庫裡さんらしき方に無事発見されたぞ・・・#59124;

 



拝観料を納めて,まずはこの寂光山常照寺についてのビデオを見せて頂いた。

相変わらず予習をしない「かえる」は,このビデオによってここが日蓮宗のお寺だという事を知った。


いい加減下調べしていけよっ! って思うかもしれないけど。

でも,それじゃあ「ぷらぷらっと」じゃなくなっちゃうだろ? 

         

   

        吉野川から採取されたと言う帯の形をした石を用いた帯塚


これは,昭和の小堀遠州と呼ばれた中根金作さんが造った庭なんだって。

かなり有名な人だけど,いまいちピン!と来ないよなぁ・・・。

分かり易い例を挙げるなら,曲水の宴の城南宮の神苑も中根金作さんの設計だと思う。

ボストン美術館の天心園 Tenshin-en garden(正式名称はもっと長い)も同じく作庭している。



   

          紅葉もいいけど,ふかふかの苔が気持ちよさそう。


説明 ↓ は飛ばしてもらっても・・・。

要は,1000年に一人な才媛にチートな皇子と雅な豪商が恋をした,って話だ。


【ここから説明】


2代目吉野太夫は和歌,連歌などの詩歌は勿論の事,書道,茶道,香道の腕前も素晴らしく,琴,琵琶と言った管弦や更には貝合わせや囲碁の腕前も達人と伝えられている。

井原西鶴の好色一代男でも,『前代未聞の遊女也。・・・情け第一深し』とべた褒めなんだな。

その美貌も相まって,海の向こうの明からさえも恋文が届くと言う,まさに才色兼備を絵に描いたような女性だったそうだ。

馴染み客には,超絶チートなイケメンプリンス*関白近衛信尋(後陽成天皇の皇子)がいたと言う。

(*個人の感想であり,情報を確約するものではありません)



庭を散策していると,お墓を見つけた。

   

               吉野太夫のお墓。


関白が馴染み客だった吉野太夫だけど,当然,これくらいの人ともなると他にも馴染み客はいる。

もう一人,有名な客がいた。

その名は,京都の豪商・灰屋紹益。

この人は,さっきも出てきた好色一代男の主人公のモデルとされているんだ。


彼女は後に26歳で灰屋紹益(当時22歳)の妻となる。

しかし,いくら高名な太夫とは言えど遊女を妻に娶った事が原因で,紹益は親から勘当されてしまう。

だけど吉野太夫は質素に暮らし夫を助け,紹益の親にも認められ,後に遊女の鑑と呼ばれるほどになったんだって。


豪商が当代一随一との誉れある太夫の身請けを関白と競ったって,きっと当時は大騒ぎだったろうな。

ほら,時代劇とかで若旦那が遊女に入れあげて,家のお金を持ち出して・・・なんて展開があるだろ?


予想通りだけど,この灰屋紹益という人,商売そっちのけで雅な事に精を出していたそうだ。

しかも,実は養子。

どうやら,本阿弥光悦の一族の出身なんだな。

そのせいあってか,当時の一流と呼ばれた人の元で,和歌,書道,茶道,蹴鞠を学び随筆まで書いちゃうっていう有名な風流人だったみたいなんだ。

で,天皇や皇族との交流もあったと言う,これまた凄い人物だったんだな。


【ここまで説明】

で,結局,恋の勝者は豪商の方だった。




なんだかなぁ~。

まるで小説の中の世界みたいだぞ・・・。


ただ,このお墓とお寺を見ている限りでは,そんなきらびやかなものは一切感じないんだけどな。



   

               紹益 吉野 供養塔 と彫られている。


   

                                 比翼塚は灰屋紹益と吉野太夫の供養塔だそうだ。


幸せな日々を暮らしているかに見えた吉野太夫は,たった38歳の若さで亡くなってしまう。

その早すぎる死を嘆いた紹益が残した歌がある。


「都をば 花なき里に なしにけり 吉野を死出の 山にうつして」

 

妻を亡くした夫の悲しみが伝わってくる歌だな。

ただ,紹益は後添え(3人目の妻)を貰っているんだけどな。




因みに,紹益は80過ぎまで生きたんだって。




随分と長くなってしまったので,ここらで一旦中断して,おやつの話をしようかな?



   

       立鮮調進 なかがわさんの京都・祇園 ちりめん山椒せんべいだ。




   

          5枚入り(個包装)の袋が2パックで分けられている。


湿気を防ぐ為なんだろうけどな。

ちりめん山椒が大好きな「かえる」はサクッっと食べちゃうから,そのお心遣いは無駄になる気がするぞ・・・。



   

          見てるだけでよだれが出てきちゃう好い色合いだ。



では,試食タイムっ!


   


封を切った瞬間から,濃いぃたまり醤油の香りが漂ってくるな。

お焦げ煎餅のような見た目のおせんべいは,炭を使った水で炊き上げられているそうだ。

では,一口。


・・・思ったよりも歯ごたえがあって,「さくっ!」と言うよりも「ざくっっ!」って感じだな。

芳醇な少し甘くも感じるたまり醤油の香りとピリッとくる山椒の香りが混ざり合い,口の中に広がる。

見た目は凄くしょっぱい感じがしたけど,思ったほどではないな。

勿論,醤油の味は濃いんだけど。

そしておせんべいに混ざり込んだちりめんじゃこは,噛むうちにその存在感を増してくる。

個人的には「もうちょっと山椒きつめでじゃこ多めでもいいんだぞっ♪」と思ったけど,2枚目食べるからいいんだ。


という訳で,立鮮調進 なかがわさんの京都・祇園 ちりめん山椒せんべいに興味のあるみんなは,是非ともお試しして欲しいんだなっ♪

勿論,ちりめん山椒もおすすめだぞっ♪